カーボンリサイクル実証研究拠点視察 | Sustainable協議会(S協議会) | 協議会 | 近未来コンクリート研究会は、インフラを適切に維持管理することを推進する支援をするとともに、これから建設されるコンクリート構造物を長寿命化するための研究を行います。

カーボンリサイクル実証研究拠点視察
2023年1月12日

・日時:2023年1月12日,13:20~16:00
・場所:広島県豊田郡大崎上島町中野6208-1大崎発電所内
・視察内容:Gas-to-Lipidsバイオプロセスの開発
CO2有効利用コンクリートの研究開発
 微細藻類由来SAFの製造に係る研究開発
・参加者:19名
・主催:中国電力株式会社

現地では,石炭ガス化燃料電池複合発電とCO2の分離・回収技術を組み合わせた石炭火力発電の実証試験を行う大崎クールジェンから排出される実ガスのCO2を使用した,カーボンリサイクル技術の実証実験が行われていた。
当日は,現在進行しているプロジェクトのうち3プロジェクトについて視察を行った。

「Gas-to-Lipidsバイオプロセスの開発」では,バクテリアにCO2とH2を与えて酢酸を生成し,その酢酸を微生物に与えて脂質を製造するという二段階発酵のプロセスの最適化について研究が行われていた。
1Lの培養液から1日30gの油脂を製造できるそうで,配管がむき出しの複雑な製造装置の外観に圧倒された。

「CO2有効利用コンクリートの研究開発」では,CO2と反応して硬化する性質を持つ殊混和材γC2Sを使用したコンクリートであるCO2-SUICOMの適用範囲を拡大するため,屋外でCO2を吸収させる方法や中性化による鉄筋腐食の対策について屋外大型試験体を用いて検討を行っていた。
残念ながら写真撮影はできなかったが,視察者から数多くの質問が出され,関心の高さがうかがえた。
現在,結果を整理中とのことであり,検証結果の公開が楽しみである。
「微細藻類由来SAFの製造に係る研究開発」では,10種類ほど確認されている成長過程で油脂などを蓄える微細藻類から,収穫・濃縮→抽出・生成→乾燥の工程によりSAF(持続可能な航空燃料,Sustainable Aviation Fuel)を製造する産業の基盤研究を行っていた。
5日で培養液400Lから800gの油脂を収穫できるそうで,同施設では培養方法・条件の標準化や各工程の検証を行っていた。
同施設の成果は企業に提供されることになっており,先行しているアメリカに追い付き追い越せという熱い意気込みが若手研究者から伝わってきた。

※写真付き記事は下記PDFをご覧ください