2019年5月14日 群馬建設新聞 弊紙主催 十河氏が特別寄稿 本年度コンクリートセミナー | プレスリリース | プレス情報 | 近未来コンクリート研究会は、インフラを適切に維持管理することを推進する支援をするとともに、これから建設されるコンクリート構造物を長寿命化するための研究を行います。

プレス情報

2019年5月14日 群馬建設新聞

群馬建設新聞主催
十河氏が特別寄稿
本年度コンクリートセミナー

2019年5月14日 群馬建設新聞 弊紙主催 十河氏が特別寄稿 本年度コンクリートセミナー | プレスリリース | 近未来コンクリート研究会
 弊紙・群馬建設新聞では、7月2日、前橋問屋センターを会場にコンクリート施工分野における第一人者で、近未来コンクリート研究会代表の十河茂幸氏を招き「コンクリート施工セミナー~工事成績を下げないためのコンクリート施工技術~」と題したコンクリートに特化した、技術者のための技術セミナーを開催します。午前と午後の2部構成で「コンクリートに生じる不具合と対策」「初期ひび割れの発生機構と抑制対策」「コンクリート構造物の補修技術」「コンクリートに関連する新技術」について説明、解説します。セミナー開催に先立ち、十河講師からの特別寄稿を掲載します。

コンクリートに生じるコールドジョイントの適切な対応とは?

 コンクリート構造物の構築に際しては、連続的に生コンを打ち込むことが必須である。しかし、施工現場には様々なリスクが潜んでいる。生コンの運搬が工場のトラブルや交通渋滞などで計画通りに行えないとか、コンクリートポンプの故障、輸送管の閉塞、破裂、さらには型枠の変形や、振動機の故障等々、連続的な打込みに障害が出る可能性が否定できない。
 連続的な打込みができないと、暑中の施工時には、打ち込んだコンクリートの凝結が進んで、打ち重ねる生コンが到着した時には、すでに先行コンクリートと後行のコンクリートを一体化させるための振動締固め機が挿入できない可能性が高くなる。写真は、コールドジョイントが生じた事例である。
 コールドジョイントがない施工が望ましいが、現場には様々なトラブルが潜んでいるため、そのすべてを排除できない。したがって、このような事態に遭遇した場合に何を行えばよいかを事前に考えておくことが必要である。対応には、以下の3点があげられる。
 まず、トラブルの解消である。輸送管の閉塞は圧送技能者が閉塞箇所を特定して閉塞部のコンクリートを取り除いて回復させる。機械の故障には予備の機械に取り換える。生コンの遅延には、流動化剤などでスランプを回復させ、生コンの到着が遅れることが予測できれば、打込み速度の調整をするなど、そもそも時間に余裕を持った計画を立てておくことが重要である。
 次に、生コンの供給速度を調整するよう、生コン工場に現場でのトラブルの状況を連絡する。現場での荷卸しまでに時間が掛かると、現場に到着した生コンのスランプは時間と共に低下し、負の連鎖が始まる。生コン工場とは常時連絡を密にし、供給状況を把握しておくことが大切である。
 最後に、すでに打込んだコンクリートはしっかりと締め固めておく。これを怠ると打ち重ねる生コンが到着した段階で、先行したコンクリートが締固めされないまま硬化することになる。十分に締め固めていないコンクリートは劣化因子が侵入しやすく、構造物は打ち重ねの不備だけでは済まなくなり、未充填の箇所を残すことになる。極端な山形のコールドジョイントは、締固め不足の形跡とみなされる。
 あらかじめ、トラブルを想定しておくとこのような問題は、生じない筈である。