プレス情報
2019年1月10日 コンクリート新聞
広島工高が初の頂点
コンクリート甲子園強度部門で高得点
デザイン、プレゼン競う
学生の発想で課題克服
コンクリートの強度、プレゼンテーション、デザインで高校日本一を競う━━━。四国高等学校土木教育研究会主催の「第12回コンクリート甲子園」が昨年12月8日に香川県生コンクリート工業組合技術試験センターで開かれた。北は北海道から南は四国まで、過去最多となる28校がエントリーし、予選を勝ち抜いた13校が決勝に進出。3部門で高得点をあげた広島県立広島工業高等学校が初の総合優勝を果たした。
強度部門は各チーム3本の供試体を作製しその平均値が目標強度の58N/mm
2となることを目指した。強度部門を制した広島県立広島工業高等学校の平均値は59.2N/mm
2。地元の生コン会社の技術協力を受けて水セメント比のグラフを作成し、そこに予選で得られた数値を加えて本戦用の供試体の水セメント比を3パターンに絞った工夫が実った。
プレゼンテーション部門を制したのは広島県立総合技術高等学校。当初設定した水セメント比では既定の強度が出なかったことから、高性能AE減水剤を使用するとともに、前回大会のデータや資料を参考に混和剤の使用量や水セメント比、細骨材率を調整したことなどを審査員に的確に解説した。
デザイン部門は県立広島工業高等学校定時制が制した。コンクリートの色が一般的にねずみ色であることや、工業という言葉には男性のイメージが強いことを払拭するために、女子生徒の意見を取り入れて、愛らしいオス、メスのネズミのキャラクターを供試体に描いた。
人会に先立ちあいさつした全生連四国地区本部の山中伯本部長は全生連としてコンクリート甲子園を支援する議論を進めていると報告したうえで、「将来的には香川だけでなく、全国10地区持ち回りで大会が開催できる形に持って行ければと思っている」との考えを示した。
審査委員長を務めた香川高等専門学校の林和彦准教授は「限られた制約の中で目標強度を目指すのは難しかったと思うが、地元の生コン会社と連携するなどの工夫がされたことはとてもよいことだと感じた」と大会を講評した。大会を通じて、徳島県立阿南工業高校が特に印象的だったとし、審査員特別賞を授与した理由について、「予定していたよりも強度が出過ぎたことに気づいたが配合をやり直すという時間がない中で、供試体を乾燥させることや、養生温度を下げるという修正をした。結果としては目標強度を越えてしまったが、最後まであきらめずにやるということの大切さを教えてくれた」と努力を称えた。