プレス情報
2017年7月7日 中建日報
「この人」に聞く
近未来コンクリート研究会
代表 十河茂幸 氏
業界団体の連携をサポート
「部分最適」から「全体最適」へ
「建設業団体の連携を強化するための一人NPOのようなものと思ってもらえれば。中国地方の建設業、中でもコンクリートを良くするためのサポートを行ったり、協議の場を提供したい」と語るのは、近未来コンクリート研究会の十河茂幸代表。教授として6年間在籍した広島工業大学を今春退職し、業界団体間の繋ぎ役となるべく4月に立ち上げた。
十河氏はこれまでの活動の中で「広島県は中国地方の中心でありながら、業種間の連携が薄いと感じていた」と明かす。主な要因は「中心であるがゆえに業界団体組織は、異業種間の連携よりも同業との連携が主務になっている」ことと捉えており、今後は設計と施工、元請と下請、施工管理者と技能者、発注者と受注者など、対等な協議になりにくい業種間の意見交換の場を取り持つ考え。具体的には、「各団体のトップや事務局長に声をかけ、話題ごとに関連する団体や参加したい団体でグループ化して協議する。単に大勢集まってもまとまらないだろう」とする。
耳の早い関係者からは既に問い合わせや参加希望が相次ぎ、参加費等を聞かれるというが、「営利目的ではないし、したくない。必要経費があればよい」とキッパリ。「生活費は個人としての講師料や年金が頼りです」と笑う。早くから趣旨に賛同し、オフィスとセミナールームを提供している(一社)コンクリートメンテナンス協会など、仲間からのサポートにも助けられているという。
当面の目標は、9~10月頃をメドに初めての連絡会議を開催すること。テーマや参加団体は現在調整中だが、「まずはゼネコンで構成する(一社)日本建設業連合会(日建連)とその周辺団体になるだろう」とし、今後各関連団体にも波及させていくことで、将来的には「合理的にインフラを延命化、高耐久化するための合理的な設計・施工・維持管理を目指す。同業種間の『部分最適』ではなく、発注者と受注者、異業種の連携も含めた『全体最適』」を目標に据える。
また、これまで通り必要に応じて自治体や企業団体への技術支援等も継続。最後に、関連団体等に対しては、「これから諸団体を訪問させてもらうと思うので、ぜひ『全体最適』に協力してほしい。その結果が企業の営利に結びつくことにもなるのでは」と呼びかけた。
【そごう・しげゆき】
昭和49年に九州工業大学大学院を修了し、大林組入社。同社技術研究所に37年間勤務し、平成23年からは広島工業大学教授を務めた。『コンクリート診断士試験合格指南』など著書多数。昭和23年4月5日生まれの69歳。呉市出身。
問い合わせ等は同研究会(広島市中区東千田町2―3―26・コンクリートメンテナンス協会内、電話082―567―5610)まで。